12月14日金曜日。

まさこは朝から眠ったままで、なかなか起きません。

看護師さんが来ても、まさこに声をかけても

すやすや眠っています。

 

看護師さんがオムツや皮膚のチェックをして

何度か体の向きを変えているうちに、

まさこはやっと目覚めました。

 

外の景色を見ましょうと、看護師さんがまさこの体を起こし

ベッドに腰かけさせて、背中側から体を支えます。

まさこの目はトロンとして眠そうです。

 

 

体を起こすと、まさこは血圧が20ほど下がるので

眠くなるのでしょうね。

 

まさこはぼんやりしているので、足の運動は中止して

白菜の下漬けを見せることにしました。

下漬けとは、漬物を本漬けする前に塩漬けすることです。

 

まさこの足元に漬けだるを持ってきて、

おもしと押しぶたを外しました。

 

看護師さんは、まさこが漬けだるをのぞきこめるように

サポートしてくれます。

 

漬けだるを見たまさこは無言のままでした。

 

顔の近くに白菜を持っていくと、

「いいにおいがする」というまさこ。

 

まさこはまぶたが重くなったようで

今にも眠ってしまいそうです。

 

まさこの足元から顔を見上げてみると、

口からヨダレが出ていました。

 

「ヨダレが出てる!」と言う私。

看護師さんはまさこの顔をのぞきこみます。

思わず私たちは笑ってしまいました。

 

まさこは白菜漬けの味を思い出したのでしょうか。

 

「退院したら白菜漬けを作るよ」と、入院中に

何度も言っていたことを

まさこは楽しみにしていてくれたのかもしれません。