8月5日月曜日。

9時30分過ぎに、薬局へ行きました。

 

この日は、銀行に用事があって出かけていました。

が、目的の「貸金庫」が開かないという事態が起き、

私は銀行のロビーで待っていました。

全自動の貸金庫とは?安全な貸金庫が開かない理由とは・・・?

 

銀行のロビーで20分ほど待っていると、

男性の行員さんがやって来ました。

 

「貸金庫が開くには、まだ時間がかかりそうです。

他に行くところがあるなら、遠慮なくお出かけください。

復旧したら携帯電話に連絡します。」と。

 

この日、予定はしていなかったけれど、薬局に行くことにしました。

 

薬局は銀行のすぐ近くにあります。

 

この薬局には、まさこの在宅介護が始まってから

約1年の間お世話になっていました。

 

薬局の奥さまと初めて話したのは、

まさこの「おむつ券」を持って行った時。

 

それは、まさこの在宅介護が始まる前日でした。

 

「おむつ券」の使い方、どんなものが購入できるか、

いろいろと教えてもらいました。

 

薬局の奥さまは実母が92歳であること、

3代介護していることなどを明るく話してくれました。

 

そして、最後に一言。

「頑張ればいいことあるよ」と。

 

その一言に、思わず涙ぐんでしまいました。

 

自分から在宅介護したいと言って動き出したけれど

不安でいっぱいだった私に、その一言はとても嬉しかった。

 

薬局に行くのは、月に1回程度でしたが

奥さまとの何気ない会話に、私は元気をもらっていました。

 

まさこが旅立ったことは、

ケアマネージャーさんから聞いているはず・・・

そう思いながら薬局に入りました。

 

奥さまは、入ってすぐのところに腰をかけていました。

 

いつもなら、笑顔で明るく話す奥さまですが

私の顔を見るなり立ち上がり、

「長い間お世話になりました。」と・・・

 

神妙な面持ちで話す奥さまを見た瞬間、

涙があふれてきました。

 

「大変でしたね。」と続ける奥さま。

 

もっとこの薬局に通い続けたかった、

もっと奥さまと話をしたかった・・・

そう思っているのに、私は

「こちらこそお世話になりました」と

答えるのが精一杯でした。

 

葬儀でいっぱい泣いて、

ようやく心も落ち着いてきたはずなのに

また涙があふれて止まらなくなりました。