今日は母まさこの命日です。
まさこが旅立った翌年と2年後には
それぞれ、思いを書き綴っていました。
今年は、数日前にお墓の掃除をしただけで
いつもと変わらない時間を過ごしています。
母の宝物
わが家には、大きな和ダンスがあります。
中には両親の和服や小物類が入っていて、
私はほとんど和ダンスを開けたことがありませんでした。
父が旅立ってから数年後、
和ダンスを整理しようと思い立ちました。
小さい引き出しを開けたその瞬間、
まさこが「開けないで!」と言います。
その頃、私は帰省するたびに
家の中を整理したりモノを捨てたりしていたので
何度もまさこから「もう止めて」と言われていました。
いつもの「もう止めて」かと思ったら
まさこは「(引き出しに)宝物が入ってる」と言います。
そう言われるとますます見たくなりますよね。
引き出しを開けてみると、
中には母子手帳や通信簿などが入っていました。
そしてコレも。
これは私が小学五年生・六年生のときに
書いた作文や読書感想文をまとめたものです。
なかなかの厚みがありますね。
夏休みに書いた絵日記は
なぜか物置にありましたが
この文集はタンスの引き出しに保管されていました。
私のお母さん
文集の目次を見ると、一番最初に
「私のお母さん」という作文がありました。
五年生になってすぐ書いた作文で
400字詰め原稿用紙3枚に書かれています。
その一部をご紹介しますね。
まず冒頭から
私のお母さんは、全体的として、とてもや
かましいお母さんです。
ちょっとでもだらしないところがあると、
すぐさわいだり、ぺちゃくちゃしゃべったり
します。
それが、まるで、犬がほえている様子とそ
っくりなのです。
母の好きなところとして、こんなことも。
読書が大すきなお母さんは、本をひらくと
熱中してしまい、ご飯の用意も、子供のこと
も、何もかもわすれて、本の中にとけこんで
いるみたいです。
しかし、読書をしているときのお母さんは、
とてもいきいきしています。そして、目をか
がやかせながら、一ページ、二ページ、三ぺ
ージ、と次々と本を読みます。
私は、そういうときのお母さんが、一番大
すきです。
そして最後。
私のお母さんは、かみなりママさん、はり
きりママさん、のんびりママさんなど、いろ
いろへんしんします。
そのへんしんするときが、子供に対する親
の愛情がこもっていると思います。
世界でたった一人のお母さん。
私をもっともっとしかってください。そし
て、いつまでも、じょうぶで長生きして下さ
い。
母の前で作文を読んでみると
私が実家に帰省したときは、
和ダンスがある部屋で一緒に寝ていました。
まさこは元気だったので
2人分の布団を敷いて準備をしてくれたものです。
ある時、さあ寝ようとしたその時に
「作文を読んでみようかな」と言ってみました。
予想通り、まさこは「イヤ!止めて!」と拒みますが
私は面白半分で作文を読んでみました。
まさこは布団に顔をうずめて拒み続けます。
作文を読まれるのがそんなにイヤなんだ?と思いながら
読み続けていると
まさこは泣き出してしまいました。
「あぁ、やっぱり泣いた♪」と
私はおもしろがりつつも、途中で読むのをやめました。
まさこは泣き虫なところがありましたが、
何か急に思い出したりしたのでしょうか。
もう何年も前の出来事ですが、
そのシーンは今でも鮮明に覚えています。
なつかしくて、思い出し笑いしてしまう一方で
こうして文章にまとめている今、
なぜか涙がこみあげてきたりしています。