3月8日金曜日。
まさこの病室に行くと、入口近くのベッドにいた
男性患者の姿がありませんでした。
昨日、男性患者のご家族は主治医の話を聞いているので
退院とか病室変更とか、何か変化があったのでしょうね。
病室は、まさこともう一人の女性患者の2人になりました。
まさこは予定していた手術が取りやめになり、
退院に向けて日程の調整を始めたところです。
いつものように顔を拭いたり口腔ケアをしたりしていると
もう一人の女性患者のところに医師が来て
「●●●を交換しましょう」と話すのが聞こえました。
私は看護師さんを呼んで、まさこの痰吸引を
お願いしていると・・・
医師のそばに看護師さんが何人も駆けつけています。
もう一人の女性患者に何かあったようで、
カーテンの向こう側が慌ただしくなっています。
痰吸引をしている看護師さんも、吸引しながら
そちらの様子を気にしています。
「(まさこの痰は)喉のあたりに溜まっていたようですね」
と笑顔で吸引を終えた看護師さん。
看護師さんが戻った後、ベッドの上には
吸引チューブの袋などが残ったままでした。
看護師さんは、まさこや私にはいつもどおり対応しつつ
かなり急いでいたのでしょうね。
去年、別室の患者さんが急変した際
まさこはスヤスヤ眠っていました。
今回、まさこは目を開けたまま黙っています。
表情の変化はありませんが、カーテンの向こう側で
何かが起きていることは感じているでしょう。
私は、まさこの気を紛らわせようと
とりとめのない話をしてみたり
発生練習や手足のリハビリをしたり。
カーテンの向こうから
「私に渡せ!」と言う医師の声、
「心マを始めて17分経ちました」と言う看護師さんの声が
聞こえます。
「●●●さん頑張れ!」と心臓マッサージをする看護師さん、
「アドレナリンを入れて●分経ちます」と報告する看護師さん、
「今すぐ(病院に)来れますか」と家族に電話する看護師さん。
急変した患者さんは、昨日までリハビリをしていました。
今のまさこよりお元気そうに見えたのですが。
20分ほど過ぎた頃。
「ごめんなさいね、何かあったら言ってください」
先ほどの看護師さんが声をかけてくれます。
それからまた20分ほど経過。
「これから処置をするのでロビーでお待ちください」と
別の看護師さんから声をかけられました。
「時間が長くなるかもしれません」と言われたので
私はまさこのそばに付いていたいと申し出ました。
ぼんやりしているようでも、
まさこは周りの状況に気づいているはず。
気づいてしまうと、まさこは不安になるはず。
そう思ったからです。
即座に「病室を変えましょう」と言う看護師さん。
10分ほどでまさこの病室変更は完了しました。
新しい病室は個室でした。
まさこはスヤスヤ眠っていました。
静かな部屋に移動して安心したのでしょうか。
安心したのは私のほうだったかもしれませんね。
つい先ほどまでまさこがいた病室には、
「面会謝絶」の貼り紙がしてありました。