春になると、母まさこに言われたことを思い出します。
小学校に入学する直前、まさこから
2つのことを言われました。
1つめは「勉強しなくていい」という言葉で、
その内容はこちらでご紹介しています。
2つめの言葉は
「みんな持ってるなんて信じない」。
その理由は
「みんな」といっても、それは周りの2~3人だけ。
だから「みんな持ってる」なんて信じないし、
「みんな持ってるから欲しい」と言われても買わない。
こうして文字にしてみると冷たい言葉ですね。
それは子どもの私にビシッ!と言う伝え方ではなかったけれど、
釘を差すには十分な効果がありました。
その後、10年ちょっとの月日が流れ
学生だった私は競馬関連のアルバイトを始めました。
時々やってくるオジさんが
「武豊を知っている。サインもらえるよ」と言います。
サインがもらえるなんてスゴイなーと驚きつつも、
私はそこまでのファンじゃないし…と思い
オジさんの話はスルーしました。
家に帰ってその話をすると、まさこは
「どうしてサインを頼まなかったの!?」
「我が家の家宝にできるのに!」と呆れ
こう続けました。
「武豊のサインはみんな欲しいのに」
この場合の「みんな」は「たくさんの人」と言えるでしょうから
私も「そうだよねぇ」と納得。
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さらにその数年後。
社会人になると、携帯電話がどんどん普及し
同僚の多くは携帯電話を持ち始めました。
私は一人暮らしを始めていて、部屋に固定電話があったので
携帯電話が無くても困らずにいました。
ある時、まさこと隣の県に出かけ
そろそろ帰ろうという頃。
「迎えに来るよう息子(=私の兄)に電話してほしい」と
言われましたが、公衆電話が見当たりません。
電話ボックスを探す私にまさこが言います。
「こういう時のために携帯電話を持たなくちゃ」
そしてもう一言。
「みんな持ってるから買わないんでしょ」と。
コレ、半分は当たってたんです。
私の考えはすっかりお見通しだったのですね。
さすが母親です。
その後、ほどなくして携帯電話を買いました。
携帯電話が必需品になった今でも、
買うきっかけとなったまさこの言葉と
入学前に言われた言葉は忘れられず、時折ふと思い出しています。