母まさこが大事にしていた畑は私が引き継ぎ、
まもなく4年になろうとしています。
お散歩で通りかかり、声をかけてくださる方も多く
どなたかわからずにお話するのも楽しいものです。
まさこを知っている方からは、
「畑の作り方はお母さんと同じ」と何度も言われます。
「あんなに元気だったのにね」と
まさこの元気な姿を思い出してくださる方もいます。
5年前の今頃、まさこは夏野菜を育てていました。
収獲を目前にして入院し
1年後、ようやく退院できたまさこは
寝たきりの状態で家に戻ってきました。
大親友のHさんは、
退院3日後にまさこに会いに来てくれました。
Hさんはまさこを見るなり号泣し、
まさこの頬を両手で包んだまま大声で泣き続けます。
まさこは眠かったのか左目が半分閉じていて、
号泣するHさんに話しかけることもなくずっと黙っていました。
1年の間に、まさこはすっかり変わり果て
会った方はほとんどが絶句していたように思います。
親友のSさんですら、会うタイミングを迷っていたと言うので
まさことの距離を置いた人も多かったでしょう。
まさこは体調が良いときは
訪問看護師さんと一緒に車いすに乗って外へ出ることもありました。
ご近所の方に会うことも多かったので
まさこにとってはとてもいい刺激になっていたと思います。
まさこの姿を見て、思わず
「こんなになっちゃって」と言った方もいました。
1人は男性。
ちょっと離れたところでつぶやいていたので
まさこには聞こえなかったと思います。
男性はまさこと仲良くしてくださっていたようで、
元気な頃とのギャップに心の声が出てしまったのでしょうね。
もう1人はお隣だったK子さん。
先ほどの記事でご紹介した、
まさこの親友Sさんと一緒に会いにきてくださった方です。
いまも畑の隣に住んでいるK子さんは
畑を眺めていた私たちに声をかけてくれました。
そして、「こんなになっちゃって」とつぶやきます。
すかさず「これから元気になりますよ」と答える訪問看護師さん。
看護師さんムカついてるなぁと感じたせいでしょうか、
私自身は怒りの感情が起きませんでした。
まさこはK子さんのつぶやきが聞こえなかったようで
「畑がキレイだ」と言ってくれます。
まさこがキレイだと言ってくれた畑はこんな感じでした。
手前のイチゴは、まさこの「食べたい」という言葉を聞いて
植えたものです。
車いすに乗ったまさこから見えるようにと
道路に近い場所にイチゴを植えていました。
畑から家に戻った後も、看護師さんは
K子さんのつぶやきにプンスカしていました。
当日の看護記録を見てみると
5月31日 血圧124/60、体温36.8、脈87、酸素92%
今日は、そんなに暑くなかったので、外気浴に行きました。
15分くらい経ったカナ、と思ったら30分も経っていました。
畑の前でワイワイしていたら、隣のK子さんが来てくれました。
足の運動も行いました。 ●●(看護師さんの名前)
プンスカはみじんも感じない、さすが大人ですね。
看護師さんが帰った後も、まさこは
「畑がキレイだ」と何度も言ってくれました。
そして、3年後。
K子さんのつぶやきから3年後の畑です。
いまは隅々までいろんな野菜を育てています。
そして、お隣のK子さん。
最近お姿を見ないなぁと思っていたところ、
5月の連休終わりに見慣れない車が止まっていました。
車には●●病院居宅介護支援事業所の文字が。
今度はK子さんが利用する側になったのでしょうね。
いずれは誰もが老いる、それはわかっているけれど
要介護になることもある、と忘れてはいけませんね。